海峡を越える
本州と九州の間の関門海峡を歩いて越える。トンネルは人と自転車しか通れない「人道トンネル」。トンネル内で県境を越え、九州に無事上陸できた。
本州最西端・下関
日本列島は4つの大きな島と小さい島嶼からなっている。その中でも最も大きい島である本州。本州最北端大間崎を出て61日め、最西端下関に着いたのは、正月の帰省後、再び岩国から歩き始めてから5日めのことだった。
下関にはいろいろな神社や古戦場などの名所旧跡がたくさんあり、歴史を感じさせる町だった。広島から歩いてきた山陽道の起・終点の碑もあった。
海峡の町ゆえか、安宿もたくさんあり、私は素泊まり2,200円という破格の値段で一夜の宿をとることができた。安宿の宿命として部屋はとても寒かったが、昔ながらの旧式な「あんか」があって、暖をとることができ嬉しかった。
人道トンネル
本日は、関門海峡を越えて九州に上陸する日である。関門橋は車専用の橋で、人や自転車はトンネルを通って海峡を渡れると聞いていたので、どんなトンネルなのかワクワクしながら歩を進める。
まさか、歩道が整備されていないなんてことはないよなぁ、などと考えながら歩いていると、ふと前方にトンネルの入り口が見える。それは、予想していたような半円形の暗い入り口とはほど遠い、「関門トンネル人道入口」と大きくかかれた建物であった。
最初は拍子抜けしたが、何か面白そうだな、と思い直し、建物内のエレベーターで地下へ。約50mを30秒程度で降りきると、そこは関門海峡の地下、人と自転車しか通れない「人道トンネル」だった。
県境を越えて
シーズンオフとあって、ほとんど人気のない人道トンネルを、一人九州方向に向かって歩く。途中、山口県と福岡県の県境が線で示されてあって、面白かった。記念写真を撮ったりしながら歩いたが、すっかり地元の人の生活道路として定着していたのがとても印象に残った。
15分も歩くと、もう出口。今度はエレベーターで地上へと上る。やはり同じような建物の中に着き、ついに九州上陸の第一歩を踏み出した。
あまりにあっさりとトンネルが終わってしまい、物足りなさも感じたが、トンネル用のライトも排気ガスよけのマスクも使うことなく、非常に快適な海峡越となって大満足であった。