日本列島四端制覇
与那国島の日本最西端の碑を訪れて、日本の東西南北四端を制覇。日本最後の夕暮れを肴に、アルコール60度の酒「どなん」で盛り上がる
。日本最○端
「日本列島には最北端など最○端というのが東西南北とあるが、そのうち碑がないのはどこでしょう」というクイズがある。-答えは「最東端」。納沙布岬は北方領土の関係上、最東端の碑はないのである(「本土最東端」の碑はある)。
最南端も正しくは沖の鳥島ではあるが、現在日本人が行ける限りの4つの端(東:北海道納沙布岬、西:沖縄県与那国島、南:沖縄県波照間島、北:北海道宗谷岬)を私はこの日をもって制覇したのである。
日本最西端へ
与那国行きの飛行機はどうやら出発が遅れるようであった。最南端で会った女性と再び石垣空港で一緒になり、共に与那国島へと飛ぶ。日本列島歩き旅は昨日の波照間島でゴールしたのだが、せっかくだから与那国島と西表島へと足をのばす予定でいた。
石垣空港から飛び立った与那国行きの飛行機は、眼下に竹富島や小浜島、黒島、西表島などを見下しながら一路西へと向かう。船便も出ているのだがなぜ飛行機を選んだのかといえば、与那国行きのフェリーはその揺れ方が半端じゃなく、乗客には入口のタラップで一人に一つずつバケツが渡されたという嘘のような本当の話があるくらいだからだ。
もうすっかり台湾が近いというのに文化などを見ても日本との交流が盛んであった与那国島は、方言では「どなん」と呼ばれており、それには「渡難」という字が充てられているという話を何かの本で読んだっけなぁ、などと思いながら窓の外のプロペラを眺めているうちに、飛行機は与那国空港へ到着した。
空港で写真を撮ってから、最西端の碑へ向けて歩き出す。今日の楽しみの一つに「日本最後の夕暮れを見る」というのがあり、天気も味方してくれそうだったので期待に胸をふくらませながら与那国島へ来たわけだ。
日本最後の夕暮れ
確か数日前の新聞で与那国島の日の入りが午後6時48分だったことから考えると、今日の日の入りは午後6時50分頃になるだろうと予測されたが、結局最西端の碑に着いたのは午後5時半ぐらい。あと1時間以上ここで待たなくてはいけないかと思うと少し気が滅入った。
しかし、そんな滅入った気分も数人の旅仲間と1本の酒との出会いですぐどこかへ吹き飛ぶ。先に自転車で着いていた彼女から私のことを聞いていたらしい明治大学の3人組の男性と仲良くなり、彼らが持っていた酒「どなん」を酌み交わして大いに盛り上がる。
この「どなん」という酒は、沖縄特有の「泡盛」という酒なのだか、アルコール度数が60度もあり、火をつけると燃えるという酒なのである。これは日本中でも与那国島のみで製造を許可されているものであり、その意味でも与那国島の名産品と言ってもよいものなのである。
後から例の彼女と彼女の知り合いの男性も来て、日本最西端から見る日本最後の夕暮れを酒の肴に「どなん」を酌み交わす。さすが60度だけあって「どなん」の小瓶360mlをあける頃には結構全員がヘロヘロになってしまった。
それでも勢いのついた我々は、明大3人組の乗っていたレンタバイクに2人乗りをして、まるで高校生の不良よろしく宿まで帰っていったのであった。